5.平凛の生徒会長選挙

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5.平凛の生徒会長選挙

 3年になった新学期早々、平凛が生徒会長選挙に出ることになっていた…。 今まで生徒会長だったチャラ男が立候補をしていたので、それで決まりかと思いきや、平凛を推薦した者がいたからだった…。2年の紫織(シオリ)だ…。推薦の場合、生徒30名以上の署名がいるということだったが、紫織はそれをわずか1日で集めたらしい。それだけ平凛人気が高いことが証明されたわけだ。  今後は1週間の選挙運動期間のあと、全校集会をした次の日が投票となる。 平凛は今まで生徒会長には対抗馬がおらず、いつも無投票だったため、まともな選挙は今回が初めてだった。  選挙には、10枚以内のチラシ(ポスター)を貼ることができるほか、校内での街頭演説、集会の時の演説ができるようになっていたのだが、平凛はチラシと集会での演説だけをすることにした。  既にチラシについてはももっちの知り合いのイラストレーターが平凛をデフォルメしたイラストを描いてくれているらしい。あとはももっちが文字入れするだけになっていた。  紫織からの情報によれば、チャラ男はマニフェストに「制服の自由化」を掲げているということだった。平凛は生徒手帳の校則をパラパラと見ていて、「これだ!」と思う項目を見つけた。  チラシは翌日にはでき、紫織は掲示板にそれらを貼り付けた。  チラシに書かれていた平凛のキャッチフレーズは、 「不純な男女交際ってなんでしょう?」 という見出しだった。  ももっちは、文字入れの際、 「本当にこれだけでいいんですか?」 と確認してきたが、平凛は 「それでいいです」 とだけ答えた。不要な会話は好まない平凛だった…。  このチラシが校内に張り出されると、チャラ男の手下だろうか、写真に撮ってすぐさま誰かに送ったようだ。  チャラ男は自分が不利とみるや部活の各部長に部員の数だけの現金をバラまく作戦に出ていた…。  紫織が収集した情報によれば、一人1万円の現金をバラまいているらしいということまで調べが付いていた。そんな大金をどこからと思ったら、家が金持ちで親が出しているらしい…。  投票日前日、集会の場で演説が始まり、くじ引きの結果チャラ男から登壇した。  チャラ男はキザなポーズで 「私は、制服の自由化を推していきたいと思っています。(あくまで推すだけで何もしないがな…) ーー中略ーー  これから先は、生徒主体で学校を良くしようではありませんか!」 拍手はぱらぱらという程度だったが、チャラ男は勝ち誇ったような歩き方で壇上から降りようとしたとき、 「選挙違反!」 誰かの声で段の一番下を踏み外し、思い切りコケてしまった…。 会場内に笑いが起きた…。今の声の主はきっと紫織だろう。
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