腹痛王子の特効薬。

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* 『婚約破棄された令嬢の行く先は限られています』 『それならわたしは、自分で生計を立てる道に進みたいのです』  これが、魔法薬草園の門を叩いたときのローザの言葉だった。  ステンドグラスから燦々と光の差し込む魔法薬草園の事務所は、まるで聖堂。  その美しさを、ローザは今でもまざまざと思い出せる。 * 「ローザ。大事な話がふたつあります」  事務所で記録簿を整頓していたローザは、すっと顔を上げた。   「ふたつ、ですか?」  目の前には園長が公爵としての正装で立っていた。  王城帰りだということが判ってローザは背筋を正す。 「えぇ。あなたがここに来て1年が経ちました。いつも真面目に働いてくださってありがとうございます」  ローザの特徴は吊り目。 それを少しでもやわらかく見せるための丸眼鏡の奥、戸惑いが浮かんだ。  濃い緑色の瞳に、ひとつに束ねた明るめの金髪。  アイボリーを基調とした制服はパンツスタイル。ここで働きはじめてから、スカートの類は履いていない。 「待ってください、その切り出し方はまさか、解雇……」  ローザの顔が蒼くなりかけたところに、園長が制する。
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