腹痛王子の特効薬。

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 王立学院でも王族は生徒会に入ることが多い。第一王子は生徒会長を務めていた。黄金の瞳で雄弁に語る様は、まさしく次代の国王に相応しいものだった。 「そのような事情がおありなんですね」 「はい。第二王子としてこのままではいけないと国王陛下が命を下されたのです」 (だから王家直属の魔法薬草園には依頼しなかったのね……) 「分かりました。必ず、薬を作ってみせます」 *  作業台の上に並べられた魔法薬草。  そのままのものもあれば、乾燥させたものもある。 「魔法薬草から薬を調合します。やったことは、ありますか?」  イーサンは首を横に振った。 「せっかくなのでやってみましょうか。水晶製のすり鉢とすりこぎです。これで、この魔法薬草をすりつぶしてください」  ローザはテーブルの上に置かれた小さな道具を示した。  イーサンがすり鉢を手に取ると、掌中にすっぽり収まってしまう。 「こうですか?」 「はい、そうです」  果たしてちゃんと見えているのか不安だったが、イーサンはきちんと魔法薬草をすりつぶした。  ローザは静かに見守りながら、考える。 (この前髪の下にどんな表情が隠されているのか、知りたいと思ってしまう。……わたしに、誰かを想う資格なんてないのに)
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