12-2 雨を望んで

10/10
前へ
/259ページ
次へ
 小春は咳をした。首のあたりがぞわぞわする。身体中が痛むが、ふと、痛みが打撲のせいだけではない気がした。  頭がだるい。  具合が悪いのかもしれない。  友美もずっとそう心配してくれていた。  考え事をしたり、周囲の声を聞くまいとがんばることが無意味に感じられた。  眠ろう、と思った小春にとって、周囲でなにやら話す声は入眠の妨げにならなかった。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加