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手提げからノートを出し、唯が担当し区分していた本の上に置いた。さらに二冊ほど本を重ねて積み、立原への挨拶もそこそこに図書室を――学校を出た。
普段なら出歩かない時間に、出歩かない場所にいるのが新鮮だ。しかし周囲の目がやたらと気になる。
商店街を通ると、クリスマスを意識した装飾が施されていた。
そういえば、と小春はつくりかけになっているブックカバーのことを思い出した。
唯とまた気軽に話す日が来るのか、プレゼントを渡すことができるのか。それはわからないが、家に戻ったら仕上げてみようと決めた。押し入れに、古い小型ミシンがしまってあったはずだ。
ノートを見た唯はなにか思ってくれるだろうか。
顔に浮かぶものが激昂でも冷笑でも、侮蔑でもよかった。
唯の攻撃的な部分を見たことや、関係が修復可能かどうか。そんなことは問題ではなかった。
小春は唯が好きだ。
それだけは動かない。
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優しいあの子のしあわせ探し。
素敵な言葉を見つけたら、嬉しい気持ちで歌い出す。
手と手を取って歌う輪で、時間を忘れて遊びます。
夕焼け小焼けで日が落ちて、仲良しあの子とさようなら。
明日もきっと遊ぼうと、楽しい気持ちで眠ります。
優しいあの子のしあわせ探し。
誰にも内緒の秘密でも、仲良しあの子に教えます。
うっかり秘密を漏らしても、あの子とだったら仲直り。
いっしょにたくさん過ごしたら、ふたりの秘密も生まれます。
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