1-1 あたらしいともだち

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 耳に入るものは断片で、断片であるがために唯の不安を煽った。声を落とした両親が楽しくない会話に勤しむ日課は、唯に質問を飲みこませた。ひそひそとした声音、そこに乗せられた暗い言葉。  唯は尋ねたかった。おばあちゃんは骨折なんでしょう、歩けないのはいまだけなんでしょう。家を訪れる往診の医師や、ソーシャルワーカーたち。助けてくれる彼らは、両親とおなじように暗い言葉で囁き合い、祖母に向き合うときには曖昧な言葉を選んでいるように見えた。  引っ越してきて、まだ十日ほどだ。だが引っ越し初日に比べ、唯の不安はいや増している。  以前に比べ、様相の変わっていく祖母が怖かった。  だが唯は祖母が好きだ。  本当は授業が終わったら、すぐ帰宅しなければならなかった。  祖母のベッドに寄り添って、気が紛れるよう話し相手をする。寝返りを打つ時間には、母を呼ばなければならない。介護をはじめた母は、いつも疲れた顔をしている。家事を手伝って、母の負担を減らさなければならない。  唯はなじめていない校舎を歩く。
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