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小黄郊外にある城塞都市に島らが入城した。黒騎兵を伴っていたので一切誰何されることもなく、潁川郷土兵や泰山からの兵も共に。この地を守っていたのは北瑠、孫羽将軍の部将だった北狄の男。四十路を超えているが、その巨躯は未だに衰えることを知らない。
歩兵校尉が指揮する近衛兵は都に置いてきている、今頃は丞官らが取り仕切っているだろう。城主の間に当たる部屋の奥にある椅子に腰を下ろした島が、同道してきた側近らの顔ぶれを確かめた。
対面しているのは張遼、典偉、文聘、甘寧、北瑠など部隊を任せられる部将と、趙厳、牽招といった若者。椅子の隣には荀彧が立っている。
「ここに来て数日が経った、今頃洛陽では空席を埋める作業で忙しかろう」
官職を履いていた者達がこぞって都を脱出したか、投獄された。嘆願があれば免職だけで済まされることもあっただろうが、いずれ二千石級の職がかなり空席になっているのは事実だろう。
「報告によれば董卓は太尉になり斧鉞と虎憤兵を与えられたとのことです。空席になった司空には楊彪殿が、司徒には黄碗殿がついたとのこと」
「中央の軍兵を握ろうって腹だな。これで殆どが影響下だ」
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