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「文聘殿の仰るように、担ぎ上げようとする最右翼は何皇太后でありましょう。董卓にとって政治的に極めて危険な二人、恐らくはその命を狙われることになるはずです」
そしてそれは遠くない未来に実行される、口には出さずとも結末を想定していた。長生きをしたければ身分を隠し辺境へ消え去るか、異民族の国へでも逃げるかしかない。
「情勢が固まる前に、董卓を排除しろって言えなかったんだ、そいつの限界だろ」
無味乾燥した意見を吐いた甘寧はなんら悪びれるところがない。思っていても口にしなければ敵も増やさずにすむだろうに。気に入らない相手とは常に衝突して生きて来た、これからも変わることはない。
「我が君、これからどうするおつもりでしょうか」
あてもなく逃げて来たとしても、理不尽な責めを受けずに済むと言う益はある。皆の注目を集めて島は小さく頷く。
「早晩反董卓連合軍が結成されるはずだ、それまでは足元を固めるさ」
「反董卓連合軍ですか?」
なにか確信じみた言い方ではあったが、突然そんな風に言われてもしっくりと来るものはいなかった。他人任せのような態度にも思えるが、誰一人即断はしない。
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