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「御意。董卓は司隷、併州、雍州、涼州を影響下に置き、兵力は十万、献帝を頂き官軍としての御旗を得ております。一方で我が君は、陳留小黄県を事実上の支配下に置き、兵力は精鋭二千五百、幕下は我等の他に、潁川へ向かった友若殿や公達殿の他、陳紀殿の一派からの支持も得ております」
比べるまでもなく勝負にならない。それを知っておくのは悪いことではないが、どうやって対抗すべきかため息が出そうになるほどだった。
「戦いと言うのは頭でやるものだ、そうだろ? 荀彧、董卓のこれからの行動を想定するとどうなる」
一番の腕利きがそんなことをいうものだから、その場の皆が苦笑した。とはいえ殴り合いは一方的に出来るし、最後の手段であるとの認識は正しい。
「そうで御座いますね、董卓であらば――」
◇
河南尹洛陽、宮廷の奥深くにある部屋で、董卓は少数の側近と密談を行っていた。担当卿らの意見をきくつもりなど元よりなく、いかにして支配を盤石にすべきかのみを求めていた。
「そうか袁紹の奴は渤海太守の印を受け取ったか」
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