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ー書記sideー
『ん、、』
「あ、結弦起きたんですか」
「「ゆーちゃんおはよー」」
『ん。おは、よ』
生徒会室が少し温かくてうとうとしてたら寝てたみたいだった。起きて生徒会室を見渡すと副会長と双子だけだった。
「ああ。ほかの人たちは書類を届けに行っていますよ」
『あ、がと、』
見渡すと言っても少し首と目を動かしただけなのに副会長は気づいたようだった。
「いえいえ、まだ少し眠そうなので外を歩いてきたらどうですか?」
『そ、する』
「「えー、僕たちも着いてくー!!」」
「バカなこと言ってないでさっさと仕事をしなさい」
「「え~、、あ、ゆーちゃん行ってらっしゃい!」」
『いって、き、ます』
双子が駄々こねたときの副会長の纏った冷気怖かった。
外と言われても分かんないけど風紀の人達から「最近空き教室とか茂みや校舎裏での強姦が多いから近付かないように」って言われたからそこ以外を歩こう。
『あ、、』
生徒会室を出た後廊下を歩いていたらまた眠くなってたから日差しが当たるお気に入りのベンチで寝ようと思った。けど先客が居た、お気に入りのベンチにつくと猫と戯れている人が座っていた。
とても小さな声だったのに先客はこちらを振り向いてじっと見つめてきた。なんだかその目が邪魔なら退くと言っているようだったので
『邪魔、じゃ、ない。とな、すわ、、いい?』
邪魔じゃない。隣に座ってもいい?と言おうとしたがまたきちんと話せなかった。
コクリ
彼が頷いたのを見て彼の隣に座った。彼の横は一人分空いていて猫が退いてくれたのだと理解した。
『ごめ、ね』
ベンチを、彼を囲む猫たちに謝ると、
「にゃあ」
と返事が返ってきた。
「猫が懐くのは珍しい」
そう声が聞こえ、一瞬誰が発した声かわからなかったが隣に座る彼なのだとわかった。
『そ、なの?お、れこ、うゆず、る』
彼の言葉に返事をするのと同時に喋ってくれるのであれば名前を聞こうと自分の名を名乗った。
「ああ。近藤、か。俺は中條時政だ」
『ゆず、、いい』
「そうか。俺も時政でいいぞ結弦」
『ん』
名前で呼ばれたとき、自分が嬉しいと思ったのがわかった。名前で呼んでいいと呼ばれた時の返事は弾んでいなかっただろうか。
それからは時々猫が鳴くくらいで会話はなかった。喋らずにいるのに彼との時間はとても穏やかになり優しい空気に囲まれてる、覆われているようなずっとこのままでいたいと思えるような空間だ。僕は吃音症で彼は基本無口。だからこそ喋らなくちゃという緊張感がないのだろう。泰誠も生徒会のみんなも喋り終えるのを待ってくれるけどそこまでじゃない。あゝ、本当にこの時間が永遠に続かないものだろうか。
静かで心地よい空間は早々に副会長からのメールで終わってしまったがあそこへ行けば会えることだろう。急いでて次にいつ会えるか聞けなかったから今度は聞けるといいな。
‐書記(近藤 結弦)side end‐
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