「かみさま、ですから」

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「目が覚めましたか?おはようございます。今日から貴方はかみさまです」  児童小説のような書き出し、いや、目覚め方。なるほど前世の記憶というものは無くまるで今本当に生まれてきたかのような体感。身体がふわふわと軽い。そして目が覚めたのは事実。しかし。 「あー……目は覚めたが、ここは?」 「説明している暇はありません!かみさま不足は深刻なんです。目が覚めたならさっさと仕事をしてください!」  おおかた、俺はどこかで死んでしまったのだろう。いわゆる転生というものを実際に今経験しているのだ。ああ、まあおそらく。  俺よりも遥かに小さい背丈。幼い顔立ち。高く澄んだ声。賢そうな小学校にでも通っていそうな風貌のこの子供は、俺に向かって指をさし命令をしてきた。しかし本来必要な説明を怠り、機嫌の悪さを露呈してくるようなまだガキ臭さの残る小僧にこう命令されてはいい気がしない。前世の記憶などなくとも俺が50過ぎのおっさんであることはなんとなく分かる。はあ、仕事と言われても何をすればいいのか……
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