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「今日も仕事か」
「そうだよ」
仕事の時は夕方になると、いつもより早めに夕食の準備を始める。
バタバタしていたあたしの姿を見てか、ゴロゴロしていた守は体を起こしたかと思うと、そう一言だけすと、少し呆れた顔をした。
まるで、あたしが好んで仕事に出ているかのように。
嘘でもいいから、優しい言葉などかけてみてもいいんじゃないかとも思うが、求めるだけ無駄だ。
守の借金発覚から2年。
あたしは必死に働き返済した。
返済から1年が経とうとしているのに、あたしはまだこの世界にいる。
守の仕事がうすくなってきているから。
ただでさえ仕事がないというのに輪をかけて雨なんて降られた日には本当に頭を抱えてしまう。
やっぱり雨の日は相変わらず好きにはなれない。
この梅雨という時期なんてなくして欲しいと強く願ってしまう。
「はぁ……」
夕飯を終わらせ、お風呂に入ろうとリビングを通れば
気持ちよさそうにソファーで寝息をたてている守を見て、吐き出した息を大きく吸い込んだ。
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