幕間

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幕間

「──と、いうわけだ。僕の初恋はまだ終わっていなかったんだ。いやぁ、まさか全く同じシチュエーションでまた彼女の蜜の香りを嗅げるなんて!! これはまさに運命だとしか言いようがないと思わないかい? アレクシア」  レアルタ魔法学園、生徒会室にて。  フロストは興奮しながら友人に語り掛けていた。対してアレクシアは便器に残された他人の汚物に向けるような目で彼を見ていた。 「それで? 君はそんなくだらない話をするためにここに来たのかい? このレアルタ魔法学園生徒会長であり、レアルタ王国第二王子であるこの僕に?」 「勿論、それだけではない。君に渡すものがあってね」  フロストはアレクシアに「辞退届」を渡す。それは明らかに生徒会を辞退する意思を表すものだった。  アレクシアはそれを受け取り、ため息を吐く。 「こんなものわざわざ届けなくても君は既に生徒会メンバーじゃない。あんな愚かな問題行動を起こしたんだから」 「まぁまぁ。これは僕のけじめだ。……ここも静かになったな」  数か月前まではジャック、ルビア、フロスト、アレクシアの四人で過ごした生徒会室。しかし今ではフロストとアレクシアしかそこにはおらず、静寂に包まれていた。  アレクシアは嘲笑する。 「そのうちまた賑やかになるさ。お前らの代わりなんていくらでもいる」 「そうか、それならよかった。……じゃあ、僕は彼女に愛の手紙をしたためないといけないから行く。今までありがとう、アレクシア。楽しかったよ」 「…………、」  フロストが部屋を去り、扉が閉まる。  アレクシアはしばらくその静寂を噛み締め──我慢できなくなったかのように、机上の花瓶を壁に叩きつけた。花瓶が割れる鋭い音と破片が部屋に飛び散る。  再び静寂が部屋を支配した。アレクシアは己の顔を右手で覆う。その手が怒りで震えていた。 「……アリシア・ヴァイオレット……ッッ!! この、魔女め……ッッ!!」
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