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心の中で悪魔に囁いた。
そのせいで私の命が短くなっても良い。未来に会いたい。そして、未来と2人で誰もいない世界で暮らしたい。
目の前の悪魔は真っ黒で表情はわからない。だけど、私の言葉に頷いた。
悪魔は私の心の中が読める。だから、きっと私をここから連れ出してくれる。
未来と一緒にいる事が出来たら、どんな場所だって耐えられる。
悪魔が頷いてくれた事で、恐怖や不安が薄れていく。
だけど、この場所から突然私が消えたら、富山刑事はどう思うだろう?
慌てて、私の実家に行くと、未来も突然消えたと母に説明される。冨山刑事はパニックになるかな?
普通ではありえないこと、だけど、私も今までずっと、悪魔のせいで、普通ではありえない世界にいたのだ。
冨山刑事も一度私が感じた思いを、味わってみたら良い。
上司から、私の行方を尋ねられても答える事が出来ない。消えたと言えば、富山刑事は笑いものになるだろう。
いい気味だ。私に何度も、厳しい顔で同じ質問をして、私を責め立てた。
同じ思いをすれば良い。
私は富山刑事を憎んでいる。だけど、もう2度と人を殺したくない。
だから、富山刑事にも、私と同じ思いをさせたい。
心の中で、上司に怒られている富山刑事を想像すると、笑えてくる。
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