feeding

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「慧くん、ご飯出来たよ」 「待ってました」 「先刻、電話していたね。大丈夫?」 「うん。一緒に住んでいた友だちから。また喧嘩しちゃった」 「え…いいの?喧嘩したままで」 「もういいの。あいつと俺は生きる道を(たが)えたから」 「? なんか難しいね」 「簡単だよ。俺は双葉さんが作る料理を死ぬまで食べ続けたいってだけだから」 「……えーっと……それってまるで…」 「まるでプロポーズみたい?」 「っ!」 「ふはっ、双葉さん、顔真っ赤になった~~」 「か、からかわないで!」 「ははっ」 (うん、まぁ、今はからかっているということにしておこう) でもいつか誓おう。俺が一生食うことに困らない環境を手に入れるためならこの偽りの愛だって本物だと神様の前で誓える。 俺にとって生まれて初めての食事を──人として当たり前に食べるべき食事を美味しく提供してくれる君に永遠の愛を誓うよ。 feeding(終)
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