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そんな会話の中「おはようございます」と挨拶しながら休憩室に入って来たのは夜勤担当の滝川慧だった。
彼は一週間前からアルバイトに入った大学生だ。
「きゃ、慧くん、おはよう~♡」
滝川くんの姿を見た途端、芽衣ちゃんの目が大きく見開きキラキラオーラがより一層輝いた。
(本当、分かり易いな)
どうやら芽衣ちゃんは滝川くんのことが好きなようだ。直接訊いたわけじゃないけれどそれぐらいは見ていれば分かるほどの恋愛脳は持ち合わせている。
(まぁ、確かに滝川くん、カッコいいもんね)
ひとつ歳下の滝川くんも芽衣ちゃん同様如何にもモテます、パリピですというような風貌をしている。
そんなふたりとは真逆にいる私のことなんて無視してくれればいいのにと思うけれど残念ながらこの滝川くんもいい子らしい。
「杉原さん、おはようございます」
「お、おはようございます」
(う゛っ!キラキラのエフェクトが眩しい!!)
幻の効果で目が潰れそうなほどのいい笑顔を向けられ焦って仕方がない。
こういう派手な人たちは私みたいな人間にはもっと意地悪く接するのではないかとある種の偏見を持ったりするほどに私は卑屈な精神の持ち主だ。
(あーあ、私の方が意地悪だ)
見てくれが悪い分、性格だけでも良ければいいのにと密かに願った私だった。
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