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そんな職場環境の中でも一応バイトリーダーとして働きながら職探しを続ける私の日常にある日小さな異変が起きた。 「え……滝川…くん?」 「……」 その日、いつものように出勤した鍵開け当番の私は休憩室で寝転がっている滝川くんを見つけた。 (え?えぇ?!滝川くん、だよね?!) 長い手足を極限まで折り曲げて小さくなっているけれど、包まっているタオル地の布から覗かせている端正な寝顔は滝川くんその人だ。 「ちょ、ちょっと、滝川くん」 このままずっと眺めているわけにもいかないので何とか起こそうと軽く体を揺すった。 「おーい、滝川くん」 「………ん」 「こんなところで寝ていたらダメだよ、起きて」 「………んん」 ようやく私の声に反応し出してゆっくりと瞼が持ち上がった。その様子を見てつい(あ…綺麗)なんて思ってしまった。 「……あれ……杉原、さん?」 「杉原です。はい、ちゃんと起きて」 「……あ──……」 寝起き特有のぼやけた表情の滝川くんは上体を起こしたまではよかったけれどそのまま放心状態のようにボーッと胡坐をかいていた。 「ねぇ、なんでこんな処で寝ているの?」 「……」 「というか、どうやって入ったの?ドア、ちゃんと施錠してあったよね?」 「……」 お店の鍵は3本。店長と朝シフトの鍵開け当番の人間と、後は金庫の中に入っているスペアキーだけしかなかった。 お店に入ったばかりの滝川くんが合法的に鍵を開けて中に入るのはほぼ無理なのだけれど。
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