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年の瀬に、隣人を拾った。
ごわごわの隣人は、とても酷い顔をしていた。無頓着な性格を代弁するかのようにごわごわの髪質が、肌白い体質が。あまりにも現実ではない様相を呈していた。
弱りかけた彼女を放っておくことが出来なかった僕は、隣人を招き入れる事にした。
隣人は日溜りよりも、影を好んだ。
庭先に植えられた一本の桜が、隣人がもっとも好きな場所だった。
彼女は足が不自由で、いつも誰かが傍にいた。大半は彼女の家族であり、その半分は僕だった。
「最初の隣人は、白く丸い猫だった」
「隣人は、私を猫扱いするんですか?」
年の瀬の庭は、雪が降る寸前の状態だった。
肌寒い季節だから、僕は彼女に上がるよう努めた。
「__しょうがないですね。猫はこたつで丸くなるものですから」
自ら認めた様に、彼女は笑った。
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