運命―さだめ

　互いの「運命」が一本に繋がった時、人は疑念を確信に変える。
　杉崎玲という人間とすれ違い、穏やかであった電気の波が途端にざわめいた田村逸(いち)は、疑念すら感じなかった。

　違(たが)いはしない。
　あの女は俺の「運命」の相手だ。

　職を転じ、新たな職場で傍を過ぎ去った杉崎玲に、田村逸(いち)はそう確信した。
　それが何故かなど、知るはずもない。
　ただ、田村逸(いち)もまた、杉崎玲と意を同じくしていたのだ。

　俺があの女を殺すのだ、と。