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互いに同僚として時を進め始めると、誰も二人の関係について勘を光らせる者はいなかっただろう。互いはただの仕事仲間として、親しくもなければ、不仲でもない。よくある職場の関係性として、他の仲間には映っていたに違いない。
ただ二人だけ、杉崎玲と田村逸だけが、互いの関係を知っていたのだ。
緩やかに流れる日常で、日々同じことの繰り返し。
そんな自身の人生に憂いを感じていた杉崎玲にとって、この出会いは一種の転機であった。
乗り越える壁もない水平線を、直進しているか旋回しているかもわからず、ただひたすらに進んでいく人生に、突如現れた「運命」の人。宿敵とも呼べるその男は、平和に流れる海に突如現れた巨大な鯨。この生命を脅かす存在として現れた男には、脆い銛一本では到底太刀打ち出来ない。
受けた電気信号は恐らく人生に一度きりで、つまりそれはとんでもなく手強い相手なのだと直感した杉崎玲は、固い作戦も立てずに行動に出た。
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