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第一章:出会いとはじまりの春から夏
もし願いがかなうなら、もう二度とあの人には会いたくない。
出会うきっかけが神様ならば、あの人は出会いたくない天使だ。
天使は未熟で早く大人になりたかったわたしに希望を与えてくれた。
毎日その人のことを忘れたことはなかった。
けれどそんな片思いはもろくも崩れ、やがて終焉をむかえる。
あの日、あの人は、きっぱりとこう言った。
僕には大切にしたい人がいます。
これからもずっとその人を愛していくと。
その当時の天使はもういい歳だったし、恋愛なんかしないって言っていたわりに恋愛相談には積極的だった。
中学時代にささげたわたしの恋はあっけなく散り、想いは彼方へ消えた。
ただの憧れかもしれないけれど、天使はわたしを救ってくれたのは確かだ。
容姿も器用さなんかもないわたしなんかを今も、これからも必要としてくれる人なんかいないんだろうな。
あわい恋は思い出という名のガラスケースにしまって、ずっと眺めているだけでいいのだ。
それだけでもう充分なのだから。
今重要なことは、仕事に恋している。
仕事はわたしを裏切らないからだ。
2月も終わりかけのある日の会議中、黒いタートルネックにデニム、丸顔に丸坊主に丸メガネ姿のすべての丸が似合うプロデューサの森本さんから告げられた。
「4月からあの人気パーソナリティがやってきます」
「あの、って?」
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