#3 【MARIA;s 城《シャトー》】🔯✨

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#3 【MARIA;s 城《シャトー》】🔯✨

   話しは、夏休みの三日ほど前に(さかの)ぼる。  真夏の灼熱の太陽が肌を焦がしていく。  まだ七月だというのに茹だるような暑さだ。毎日暑くて参ってしまう。  これで何日連続で酷暑日なんだろう。  近所のコンビニまで散歩すると、蝉の声がヤケに耳障りだ。  強烈な日差しを避け、見かけない店のエントランスへ足を向けた。  新装開店したのだろうか。 「こんなトコに店なんてあったのか……」  ボクは眩しげに店を見上げた。  店の看板には【MARIA;s (シャトー)】と書かれてある。 「マリアの城か……。なんの店だろう」  見るからに怪しげな(たたず)まいだ。  シャトーと言う割りには、した建物と言えるだろう。  城と言っても西洋風なオシャレな城だ。  しかし外にいると暑いので、何げなく店の中へ入って涼んだ。    店内へ入った途端、何かのお香だろうか。  変わった香りが漂っている。  だが決して不快ではない。心地よい匂いだ。室温も涼しくてちょうど良い。     けれども不思議な店だ。  ワケのわからないものが陳列されている。    最近は見かけない懐中時計や変わった形をしたステッキなどアンティークな物を主に売っているのだろうか。 「ン!!」  ふと見ると驚くほど大きな卵が並んでいた。 「なんだろう。初めて見るけど」  ダチョウの卵だろうか。いや、もっと大きいような気がする。  こんな大きな卵は見た事がない。  棚の品書きには【恐竜の卵】と記されてあった。 「えェ、まさか」  これがなのか。こんなトコロで恐竜の卵に巡りあうなんて信じられない。    好奇心にかられ卵に手を伸ばしかけると、不意に背後から女性に声を掛けられた。 「それは、【希望の卵】ですよ」 「え……? 希望」  とっさにボクは声のした方へ振り返った。 「ようこそ、マリアです」  圧倒的な美女がボクへ微笑みかけた。  金髪碧眼で日本人離れした女神(ビーナス)みたいな美女だ。  香水だろうか。目眩(めまい)がするほど濃厚で甘美な匂いがボクの鼻孔をくすぐった。 「はァ……、どうも」反射的にボクは頭をペコペコと下げた。  青く澄んだ瞳に魅せられるようだ。  真っ黒なベールを身にまとっている。  ハーフなのだろうか、ミステリアスな美女だ。  背丈はボクと同じくらいで百七十センチはあるだろう。  女性にしては長身でスタイル抜群だ。  しかもスレンダーなのに目を見張るほどオッパイは大きい。Fカップはありそうだ。  爆乳と言っても過言ではないだろう。  その上、ウエストはキュッと(くび)れてグラビアアイドル顔負けのスタイルだ。 「え、ああァ…、店主さんですか」  【マリアの城】と言うので、おそらくこの美女が店の(あるじ)なのだろう。  ボクはペコペコして挨拶をした。 「ええェ、どうでしょう。何がご所望か。占って差し上げましょうか」 「占いですか……」どうするか。迷った。  それほど占いには興味がない。 「どうぞ、こちらにお座りください」  しかし笑顔で美女に椅子を勧められると、無下に断るワケにはいかない。 「はァ……」見るとテーブルにはタロットカードが置いてあった。 「あ、あのォ、お幾ら掛かるのでしょうか」  とっさに懐具合が心配になった。  タロット占いの相場など知らない。  あまり高額なら払う余裕はない。 「お気持ちだけで結構ですよ」  ボクの返事を待たず占いを始めてしまった。 「うッううゥ……」お気持ちと言われても。  本当に持ち合わせがないのだ。    美人占い師はタロットカードをシャッフルし、ゆっくり一枚をボクの前に置き(めく)った。 「ン?」なんだろう。このカードは。 「運命の輪(ウェール オブ フォーチュン)ですね」  彼女は笑みを浮かべ説明した。 「えェ……、フォーチュン?」  見たこともない変わった車輪のような絵柄だ。  のなにかなのか。
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