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アメリカに到着すると、空港には父の妹であり、柊二の母でもある茜さんが仕事を休みにして迎えに来てくれていると父から言われていたため、それらしき人物を探す。
向こうがこちらに気づけばうるさくなりそうなものだが、いかんせん人も多い。
この人混みの中から……
「庵くん〜〜〜〜〜!!こっち、こっち〜〜〜!!」
うん、あの人に人混みとか関係なかった。
キャイキャイと手を振りアピールする姿は、どこか見覚えがある。
「通りでな」
共に降り立った男もまた、彼女の存在に気づき、同じことを思ったらしい。
「血は争えないのか」
それを言ってしまったら、俺とあの人も血は繋がってるからな。
あまり肯定したくはない。
いや、別に彼女と血縁関係にあることが嫌だとか、そんな訳ではないが。
ほら、はしゃいでいる東洋人をあちこちで見て笑っている。
とはいえ、右も左もわからない土地で、知り合いがいるだけでもありがたいのだと思う。
「お久しぶりです、茜さん。すみません、わざわざ」
「いいのよ〜〜〜!可愛い甥っ子の助けになりたいじゃない!叔母心よ、叔母心!そ〜れ〜よ〜りぃ〜〜〜!」
礼儀正しく挨拶をすれば、相変わらずテンションの高い彼女が俺の腕をバシバシと叩きながら後ろの男へと視線を向けた。
紹介しろ、とその顔が物語っている。
「友人の大堂。学園時代の同級生です」
ため息をつきながら彼女を振り払うことなく、大堂の紹介をすれば、彼女はニヤニヤとした笑みを顔に浮かべた。
嫌な予感しかしない。
「あら、友人〜〜〜?」
引っかかる言い方だ。
そう説明したのだから、それしかないだろう。
「ただのお友達と米国まで来る〜〜〜?」
ほら、来た。
全く、この人は変わらない。
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