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最初の1年は寮に入るのが必須とされている。
学園のように1人部屋があてがわれるわけではなく、3人で1部屋を共用する。
まぁ、学園が特殊なだけで、これが普通なのだろうが。
アメリカなだけはあって寮自体は大きい。
パッと見た感じでは半年前まで居住していた学園の寮を彷彿させる。
まぁ、少し狭く感じるあたり、かなり感覚がおかしい自覚はある。
[やぁ、東洋からの留学生!君はラッキーだ!ここの寮、この前改装が終わったばっかりなんだよ!」
大堂が前に出て寮監室の扉を叩けば、中から現れた陽気な男性がベラベラと綺麗な英語で喋り始め、圧倒された。
[あぁ、今日から入寮で。俺らの部屋がどこかを教えてほしい]
[俺ら?]
対する大堂もサラサラっと英語で返したが、男性は彼が複数形で言ったことに違和感を抱いたらしい。
あ、俺見えてなかったのね。
確かに見えない角度にはいたが。
と、大堂と2人して気づき、彼がドアを更に開くと同時に体を傾けたため、軽く頭を下げた。
バチッと目があったかと思えば、その白人の男は数秒の間の後、両手を広げてまた饒舌に喋り始めた。
[何て綺麗な人なんだ!君こそが噂に聞く、ニッポンのヤマトナデシコだね!ここの寮は君が入寮してくるために建て替えられたに違いない!これから毎日君に会えると思うと、日常に花が咲くよ!お名前は何と?あぁ、失敬、先に名を名乗るのがジェントルマンの心得だよね!僕はグランドール・ラクス。どうかグランと呼んでおくれ。さぁ、君の名前は?」
なんと大袈裟な表現を……
それから、この人は何か勘違いをしている。
[皇庵といいます。ちなみに、俺、男ですから。大和撫子という表現は女性に使う表現なので、俺には不釣り合いです]
[あぁ!イオリ!良い名だね!何を言ってるんだい?君が男だなんて知ってるさ!ここは男子寮だからね!ニッポンには男でもこんなキレイな人がいるんだね!英語の発音もキレイだし!羨ましいなぁー!]
うん、なんか上手く伝わらなかった。
隣では大堂が深い深いため息をついていた。
ため息をつきたいのはこっちである。
この男を何とかしろ。
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