第1話 入寮

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[Mr.ラクス。そろそろ部屋を案内してくれ。俺らの部屋はどこだ?] ラクス氏の興奮がひと段落したところで、大堂が改めて部屋について尋ねた。 [あぁ、そうだ!ん?そういえば、君はイオリのナイトかい?それともパートナー?] まるで大堂の存在を忘れていたかのように視線を向け、サラッと質問を無視したラクス氏。 [パートナー、の方が近いか] ん? 大堂さん、その答え方は誤解を与えかねませんけど。 確かに、パートナーに近いものはあるが、ラクス氏の言うパートナーとの意味合いは違う気がするんだけど…。 案の定、ラクス氏は眼を細めて大堂をジーっと見定めるように観察している。 あの、これ長くなりますか……? [パートナーがいるなら仕方ないか……。ん?でも今、近い、と言ったね。ということは、まだ正式なパートナーではないということか!まだまだチャンスはあるよね、ね、イオリ!] この人、頭の中お花畑なのかな? はぁ、と肩を上げてもう一度深くため息をついた。 [Mr.ラクス。我々、実は今日渡米してきていて……。また今度ゆっくりお喋りしましょう] 暗に早く話を切り上げて部屋を案内しろ、と伝えれば、彼は[そうだよね!そうだ、そうだ!]と部屋の奥から鍵を二つ持ってきた。 [これが君たちの部屋の鍵さ!防犯上スペアは用意しないことになっているんだ!だから、無くさないように気をつけてね!] 学園はカードキーだったため、普通の鍵は使い慣れない。 無くさないようにしないとな、という気持ちを込めてギュッと鍵を握る。 [君たちは2人ともA棟701号室、同じ部屋だよ!部屋は合わせて3人。既に1人入寮を済ませてて、今なら部屋にいると思うから、仲良くやってね!] 大堂と同室か。 大学側の配慮か、それとも皇の力が働いたか…。 まぁ、いずれにせよ、知らない人ばかりよりは有難い。 [イオリ、何かあったら寮監室訪ねておいでね!イオリならいつでも大歓迎さ!] 最後の最後まで変わらぬラクス氏に見送られ、エレベーターに乗って7階まで移動した。
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