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[Mr.ラクス。そろそろ部屋を案内してくれ。俺らの部屋はどこだ?]
ラクス氏の興奮がひと段落したところで、大堂が改めて部屋について尋ねた。
[あぁ、そうだ!ん?そういえば、君はイオリのナイトかい?それともパートナー?]
まるで大堂の存在を忘れていたかのように視線を向け、サラッと質問を無視したラクス氏。
[パートナー、の方が近いか]
ん?
大堂さん、その答え方は誤解を与えかねませんけど。
確かに、ビジネスパートナーに近いものはあるが、ラクス氏の言うパートナーとの意味合いは違う気がするんだけど…。
案の定、ラクス氏は眼を細めて大堂をジーっと見定めるように観察している。
あの、これ長くなりますか……?
[パートナーがいるなら仕方ないか……。ん?でも今、近い、と言ったね。ということは、まだ正式なパートナーではないということか!まだまだチャンスはあるよね、ね、イオリ!]
この人、頭の中お花畑なのかな?
はぁ、と肩を上げてもう一度深くため息をついた。
[Mr.ラクス。我々、実は今日渡米してきていて……。また今度ゆっくりお喋りしましょう]
暗に早く話を切り上げて部屋を案内しろ、と伝えれば、彼は[そうだよね!そうだ、そうだ!]と部屋の奥から鍵を二つ持ってきた。
[これが君たちの部屋の鍵さ!防犯上スペアは用意しないことになっているんだ!だから、無くさないように気をつけてね!]
学園はカードキーだったため、普通の鍵は使い慣れない。
無くさないようにしないとな、という気持ちを込めてギュッと鍵を握る。
[君たちは2人ともA棟701号室、同じ部屋だよ!部屋は合わせて3人。既に1人入寮を済ませてて、今なら部屋にいると思うから、仲良くやってね!]
大堂と同室か。
大学側の配慮か、それとも皇の力が働いたか…。
まぁ、いずれにせよ、知らない人ばかりよりは有難い。
[イオリ、何かあったら寮監室訪ねておいでね!イオリならいつでも大歓迎さ!]
最後の最後まで変わらぬラクス氏に見送られ、エレベーターに乗って7階まで移動した。
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