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バイオレット色の瞳に、プラチナブロンドの髪。
その煌びやかさは昔と何一つ変わっていない。
[こんなところでまた会えるなんて!]
それにしても、あれは学園に入る前の話だぞ。
こちらはこんなインパクトのありまくる奴、忘れる訳ないけど、よく覚えていたな。
あの時の面影とか多分俺ないよ?
[忘れるわけないよ!この真っ直ぐで綺麗な目も、キュートさも、人を惹きつける魅力も、そのまま大きくなった感じさ。いや、より洗練されたよね。キレイになった]
なんだろう、これは。
俺は褒められているのか?
全くもって嬉しくない。
「おい」
蚊帳の外だった大堂が痺れを切らして割り込んだ。
あまり話の骨を折るタイプではないため、珍しいなと驚いたのは言わないでおこう。
「何者だ、ソイツは」
日本語で聞いてきたことを考えると、どうやらアル本人に聞く気はないらしい。
しかし。
「こちらはナノったでしょう?アナタこそナニモノですか?」
少々片言ではあるが、日本語で答えたアルに大堂の顔つきが一瞬険しくなった。
「……」
って、そこで無言かい!
なんなの、コイツ。
ってかこの感じデジャブなんですけど。
あ、あれか。
生徒会役員に対する態度に似ているんだ。
洸や瑠衣に対してもコイツはこんな感じだったか。
バチッと火花が散りそうな殺伐とした雰囲気をいち早く打開するため、2人の間に入って互いの紹介をする。
[こっちは、大堂。高校の同級生で、家同士が提携してるから、一緒にこっちに来たんだ]
「アルは昔、彼が父親と一緒に日本に来ていた時に知り合ったんだ。皇家と縁が深いみたいで、良くうちに遊びに来てた」
いや、なんで俺が…。
そこは互いにやれよ。
ガキじゃあるまいし。
日本語と英語を使い分けるこちらの身にもなれや。
「イオリ、ありがとう。ジャパニーズはあるていどならわかるよ。べんきょうしたんだ。まだカンジはムズカしいけどね」
なるほど。
さっきあれだけ英語で喋ってたから、てっきり日本語は微妙なのかと思ったんだけど。
「まぁ、テンションあがるとイングリッシュがでちゃうんだけどね。またジャパニーおしえてよ」
そんな眩しいスマイルで頼まれたら断れないよ。
ってか、断る理由もないし。
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