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【1】
確か小学校の四年生、だったかな。
気持ち悪い小父さんだった。
学校帰りの僕に、やたらくっついて話し掛けて来てさ。肩に腕を回して、すぐ傍のマンションの方に連れて行かれそうになったんだよ。
この辺りは大きなマンションが多いんだ。敷地も広くて公園があったり、木が植えてあったりするんだよね。いったんその中に入ったら、多分外からは見えない。
びっくりして僕が逃げようと身体の向き変えたら、背負ってたランドセルがそいつの鳩尾に直撃したみたい。なんか呻きながらうずくまって……。
その拍子に視界の端で何かが縦に動いて、道路に顔を向けたらナイフが落ちていた。
うちにあるようなごく普通の果物ナイフでも包丁でもないけど、間違いなく危険な刃物。
何気なく拾って前を見ると、男が立ち上がろうとしてるところだった。
僕は反射的に、そいつのまだ伸び切ってない背中にナイフを突き立てたんだ。
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