レシート売り屋さん

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店に飾ってある長いレシートが一反木綿のようだ。長いだけではない。力強さも感じる。いつも私を見守ってくれているレシートだ。 ここはレシート売り屋さん。街の片隅でひっそりとレシートを売っている。店には雪みたいにレシートが降り積もっている。歩くてわさわさして気持ちいい。レシートなんて普通は売らないけど、この店では売っている。珍しいでしょう。物好きに人気なんだ。 「レシートください!」 「はい。5円です。」 「ありがとうございます!!」 「こちら、レシートのレシート。5円です。」 「え?」 レシートを売るとそのレシート、つまりレシートのレシート、レシートのレシートのレシートというようにレシートの無限連鎖が始まる。お客さんは永遠にレシートを買わなければならなくなるので、お金がなくなり最終的に餓死する。人が亡くなるのは辛いことだ。今まで数百人この店で死ぬのを見てきた。客は一人残らず死んだ。中には無限地獄に耐えられず、自殺した人もいた。人が死ぬのをみるのは苦しい。だからここ数年誰にもレシートは売っていない。レシート屋さんなのに。商売あがったりだ。私の懐がすっからかん。私が餓死することになりそうで大変なんだ。人にはなんでそんな仕事やってるのって聞かれる。やめればいいじゃんって言われる。確かになんでこんな仕事やってんだって思うことはたくさんあるけど、ほんとになんでやってんだろう。やめればいいじゃん。やめた! 完
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