詩戦(うたいくさ)粗筋

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詩戦(うたいくさ)粗筋

時は二千三十と三年、時代は多種多様のジャンルの存在を認めるに至り、特に芸術の分野でも新しきものが求められつつあった、日本に於いてその一つが即興詩と呼ばれるもので、基本は五字七字という伝統的な短歌や俳句の旋律を踏襲しつつもその長さは自由であり場合によっては破形と呼ばれる崩された詠みも良しとする(これを嫌う先生も居るが)。 しかし、やってはならないのが誰かを貶める様な表現、特に対戦相手に対しての侮辱発言は乱破(らっぱ)行為と呼ばれ一発退場、あるいは日本詩歌連盟からの除名すらあり得る。 そんな新たな芸術分野に彗星の如く現れたのが私立鳳雛芸術大附属高校三年の鳳凰院詩華(ほうおういんしいか)であった。 彼女は一年の初めに開かれた第五回詩歌トーナメント戦に於いて初出場ならが初優勝すると次の年も連覇し今年でもしも三連覇となると殿堂入りが決定する。 ところが、そこに待ったをかける存在が一年の五月女戦士(さおとめせんし)だった。 彼はラップをこよなく愛する男子であったが詩華と出会い即興詩の世界に興味を持つも、彼のラップテイストをよく思わない詩華と時々対立する。 そんななか第七回大会は開催されもう一人の優勝候補と目されている二年の花小路萌香(はなこうじもか)と三つ巴の攻防を繰り広げるが準決勝で花小路萌香が敗れ鳳凰院詩華と早乙女戦士の一騎討ちとなる。 ところが、最終決戦のお題「恋」を貰った時に五月女戦士の表情が変化し、ご法度である乱破行為に及ぶ。 当然これは退場になってもおかしくない場面で対戦相手の鳳凰院がこれを止める。 そこで完膚なきまでに倒すのかと思いきや鳳凰院も同じ乱破行為に及び最終結果を見ずに下段(対戦するステージを降りる事で棄権とみなされる)してしまう。 呆気に取られる場内。 決勝戦での二人の乱破行為により繰り上がり優勝になるはずの花小路萌香は二人の激闘を讃えた後それを辞退。 初めて優勝者なしの大会でありながら後々に伝説の大会と呼ばれる事になる。
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