番外編 君とワンダーランド!

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段々と深いキスになっていき、俺は大智のシャツをめくり、肌を弄る。 「あ……」 まだ声を出すことに慣れない大智は小さな声をだす。それでも胸の突起を舐めるとまた声を聞かせてくれる。手を伸ばし、顕になった大智の半勃ちしたソレを上下に擦ってやる。ビクッと体が揺れ、じっと俺を見る潤んだ瞳が艶めかしい。 前まではウサギのように可愛いとしか思えなかったのに、たまにこうして色気を感じるようになって、俺はゾクリとして思わず生唾を飲み込んだ。 「や、あ……っ」 「気持ちいい?」 真っ赤になった大智の耳たぶを舐めながら聞くとゆっくり頷く。それを合図にローションをたっぷりとつけた指を後孔に滑り込ませた。 「んん……っ、あ……」 クチュクチュ、と音を出しながらかき混ぜるとだんだんと柔らかくなってきて、受け入れてくれそうにヒクヒクと誘うその場所に、俺は自分のソレを擦り付ける。 大智と触れ合うのは久しぶりもう、今すぐにでも奥深く挿れたくてたまらない。 「彗さあん……」 大智が甘く俺を呼ぶ。ああこの声も、この身体も俺のものなんだ。誰にも渡すもんか。 「挿れるよ」 その愛しいところにゆっくりと侵入していく。暖かい大智のナカは気持ち良すぎて、浅いところでもイッてしまいそうになる。どうにか持ち堪えながら、俺は大智の両脚を肩に乗せて腰を持ち、さらに奥へと侵入をつづける。 「ふ、ああっ、ん、んっ!」 腰を動かすたびに、大智はソファーを掴む。どんどんとお互いに耐えられなくなっていく。 「大智っ」 抱きしめると大智は俺の体にしがみつく。 「いいよ……っ、も、僕もイク……っ」 ビクビクっと体が痙攣すると同時に自分の精を放ったとき、大智もまたそれを放った。 一息ついてゴロンと寝転び、大の字になって天井を見上げた。 ああ俺ってなんであんなにウジウジしてたんだろう。こんなに可愛い大智を一人にしてしまってたなんて。 「もう機嫌なおしてくれた?」 大智の頬をツンツンしながら聞くと、口を少し尖らせたもののその顔はいつもの大智だ。まるで何かをねだる子供のようで、可愛い。 「あ、そうだ!」 俺はあることを思いつく。 「仲直りの鉄則、旅行しよう。名古屋行くの、俺も一緒に行っていい?」 「行っていい?って、僕は初めから彗さんと一緒に行こうと思ってたよ」 「ええっ?そうなの?」 ガバっと体を起こすと、大智は少し笑った。 「……僕もちゃんと言うようにする。伝わってるだろうじゃ、伝わらないもんね」 「大智……」 「塩崎さんに会ったら『僕の彼氏は大人なのにすごいヤキモチ妬くんですよ』って言おうかな」 「いやちょっと、それは勘弁して……」 手を合わせ、拝むと大智はどうしようかなー、といたずらっ子のように笑っていた。 【ナイトスペース】の待ち時間の間に自販機前のフリースペースで俺は塩崎さんに電話をかけた。 『アキくんお疲れ様。いま大丈夫?』 『大丈夫ですよ。今日休みですから』 携帯越しに聞こえた塩崎さんの声はいつもより明るい。やっぱり休みだと嬉しいのかな。なんだか楽しそうだ。 『この前は変な相談して、ごめんね。無事、仲直りしたからその報告』 『わあ、有村さん律儀!でも役に立てて良かった』 『今度さ、名古屋に大智と一緒に行こうと思うんだ。その時に美味しいお店を案内してもらえないかな』 『もちろん。ああそうだ、この前教えてもらったお酒買って帰ったんです。やっぱり美味しくて、大介さんなんか美味いって飲みすぎてすぐ寝ちゃったし……』 おいこらと塩崎さんの後ろで誰かの声が聞こえた。その声が大介さんなのだろうか。 『大介さん?』 『……あ、ラジオディレクターです。同居してて』 『ABSの人なんだ!へぇ、お会いしてみたいな。一緒にお店行きましょうよ』 その後ちらりと近況を話しながら、名古屋に行く日が決まったら連絡すると言って通話を切る。行くと決まったらなんだかとても楽しみになってきた。 しかしラジオディレクターと一緒に住んで、しかも名前呼びなんて。俺は少し不思議に思いながらあくびをした。 「有村さーん、メールチェックお願いします」 番組スタッフが俺を呼びにきたので、缶コーヒーを持ちながら移動した。 『たくさんリクエストメールありがとう。さてテーマですが【あなたが旅行したいところ】ですね』 なんてタイミングのいいテーマなんだろうと内心ニヤつきながら喋る。 今日も大智は聴いてくれているだろうか。俺はマイクの向こうの最愛のリスナーに語りかけた。 『僕が行きたいのはですね、名古屋です。実はもう計画立ててるんです。向こうにいる知人と美味しい料理とお酒を案内していただくんですよ』 きっと大智は笑っているかもしれない。いや、私用に【ナイトスペース】を使うなんて、と怒るかもな。 『さて、まずは一曲。僕の大好きな曲です』 軽快なギターの音と、優しい歌声が流れる。それを聴きながら、俺は目を瞑って名古屋ではしゃぐ大智の姿を想像していた。 【了】
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