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ベルは口を挟むことなく黙っている。
「絵本の内容はだいたい合ってて、大事なところが間違えてる。母は怪物に攫われたんじゃない。駆け落ちしたの」
奏の話をまとめると、ブロッサム家が襲撃された日、次々と一族が殺されていく中、現在の奏の父が母レイアを救出し屋敷から逃亡したといのが真実らしい。逃亡生活中、二人の間に生まれたのが奏と菜穂なのだという。
「それで、何でお前の母と菜穂が科学界に住んでるんだよ。菜穂なんて魔法の魔文字も知らなかった」
知らないふりをしているというわけでもないだろう。第一そんなまね、あいつにできっこない。
「察してよ、あんた菜穂と契約魔法したマセガキなんだから思いつくものがあるんじゃないの?」
「ま、マセガキじゃない!」
そもそも察してわかるなら聞いてない。
ベルはクスクス笑ってるけど、まだ口を挟まない。奏は俺を真っ直ぐに見つめると、また瞳の色をベルと同じ空色にして溜息をついて言った。
「まあ、そんな中途半端な契約状態じゃ仕方ないか。仕方ないから教えてあげる。菜穂とママが日本にいるのも、私とパパがコルレガリアにいるのも、そしてあんたと菜穂の契約が上手くいってないのも、全部菜穂の呪いのせいだってこと」
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