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「太陽がなくて困らないの?」
太陽のおかげで野菜が育つって、いつか授業で教えてもらった。それに太陽のおかげで世界は温かいし…… ずっと夜なこの世界を、私が心配そうに眺めていると、ショウはくすくす笑って言った。
「最初からなかったんだ、困るもんか。それに、俺達には魔法がある」
ショウが杖を取り出して一振りすると、どこからともなくランタンが現れた。町中を照らしていた空飛ぶランタン。目の前のランタンも町のと同じようにあたりをふわふわと飛んで、どこかへ行ってしまった。
「科学界が神秘を明かして発展したように、魔法界は神秘を食らって生きてきた。だから、ナホがそれを心配する必要なんてないよ」
ショウの言葉の意味はほとんどわからなかったけれど、私は彼の笑顔に飲まれて、とりあえず頷いた。何もわかっていないのが見透かされているのか、ショウはまたクスクス笑って話を変えた。
「そうそう、明日の魔法検定についてだけどさ」
「答えを教えてくれるの!?」
私が目を輝かせてそう聞いたところ、ショウは苦笑して首を横に振った。
「いいや、そもそも答えなんてない。……そうじゃなくて、一つ役立つ魔法を教えようと思っただけだ」
なんだ、残念。
「私でも使えるの?」
「大丈夫。君の魔力によく合った魔法さ」
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