魔法少年は帰りたい

12/19
前へ
/20ページ
次へ
「太陽がなくて困らないの?」  太陽のおかげで野菜が育つって、いつか授業で教えてもらった。それに太陽のおかげで世界は温かいし…… ずっと夜なこの世界を、私が心配そうに眺めていると、ショウはくすくす笑って言った。 「最初からなかったんだ、困るもんか。それに、俺達には魔法がある」  ショウが杖を取り出して一振りすると、どこからともなくランタンが現れた。町中を照らしていた空飛ぶランタン。目の前のランタンも町のと同じようにあたりをふわふわと飛んで、どこかへ行ってしまった。 「科学界が神秘を明かして発展したように、魔法界は神秘を食らって生きてきた。だから、ナホがそれを心配する必要なんてないよ」  ショウの言葉の意味はほとんどわからなかったけれど、私は彼の笑顔に飲まれて、とりあえず頷いた。何もわかっていないのが見透かされているのか、ショウはまたクスクス笑って話を変えた。 「そうそう、明日の魔法検定についてだけどさ」 「答えを教えてくれるの!?」  私が目を輝かせてそう聞いたところ、ショウは苦笑して首を横に振った。 「いいや、そもそも答えなんてない。……そうじゃなくて、一つ役立つ魔法を教えようと思っただけだ」  なんだ、残念。 「私でも使えるの?」 「大丈夫。君の魔力によく合った魔法さ」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加