無償の愛 再会 虹の橋

6/12
前へ
/12ページ
次へ
そしてまた私の方に来て前足を私の肩に乗せ 可愛いアップルヘッドと鼻先を私の首に擦り寄せていた。 「母さん、そろそろ帰ろうか」 「そうね、帰りましょう、この子のお家へ」 私と家内が帰り支度をしていると スタッフさんが申し訳なさそうに言ってきた。 「あの〜申し訳ありませんが、お願いがあるのですが この子の写真を撮らせていただけないでしょうか それと今回のこの出来事をこのお店のペット新聞 に乗せたいのですがご承諾頂けないでしょうか」 「私達もですか?」 「はい、もしできるのであればお願いします、 もしご無理でしたらこの子とワニさんのぬいぐるみだけでも良いのでお願いします」 「私たちの写真は勘弁してほしいです、 だけどこの子の写真はいいですよ」 「ありがとうございます、ペット新聞が 出来ましたらご自宅へ郵送させて頂きますので それと今回の出来事を店長に話したところ 店長もえらく感動していまして 『これをこの子に持たせてやりなさい』 と言ってこれを出してくれました。 これはこの子がここのお店で唯一食べたご飯です」 スタッフさんがそう言ってテーブルの上に出したものは、 生前愛犬が食べていたチワワ用のご飯と 同じものだった。5袋もあった。 「こんなに沢山良いのですか」 思わず聞いてしまった。 「はい、どうぞ!ご遠慮なく! この子は他の子達が食べているご飯は 全然食べなくて私も困っていました。 そして店内を掃除しているときに このご飯が目に止まりふと、これをあげてみようか と思って私が自分で購入してこの子にあげてみたんです。 そうしたら最初は匂いを嗅いでいて 食べなかったんですけど暫くしてまた見にきたら 餌入れが空になっていたのでそれから この子だけの特別食でした。 店長も『嫁入り道具だ』などと言っていました。 この子は男の子ですけどね」 スタッフさんは笑いながら話してくれた。 写真を撮る時もこの子はおすわりしたままで顔は カメラ目線、スタッフさんも驚いていた。 普通パピーの頃は一時もじっとしていないのに この子は写真を撮られていることがわかって いるかのようにじっとしてカメラ目線を外さない、 このようなことが出来るようになるにはある程度成犬 にならないと無理なのですが・・・と言っていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加