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目が覚めたら独りだった。
ここには生き物もなく、建物もなく、ただ一面の荒れた地面だけがあった。
僕は歩いた。
果てしない何もない地面をひたすら歩いた。
歩けど歩けど荒れた地面が広がっていた。
それでもこの先に何かがあると信じて歩き続けた。
歩き抜いた先に深い、とても深い一人分の溝があった。
溝は星を横断していた。
底は深く暗く何も見えなかった。
僕は溝に落ちた。
果てしない何もない空間をひたすら落ちた。
どこに着くとも知れずに、どこに向かうとも知れずに。
ずっとずっと深くまで落ち続けた。
気が付くと底にたどり着いていた。
横たわる身体を起こし、周りを見た。
すると、一つのドアがあった。
そのドアには鍵が掛かっていた。
だけど、ドアの内側には誰かがいる気がした。
「すみません、誰かいますか?」
僕はドアを叩き、向こう側に呼び掛けた。
ガチャリと赤が青に変わり、扉が開いた。
中から最愛の人が出てきた。
僕はその人を抱き締めた。
どこにいたのか、何をしていたのか尋ねたが何も答えは返って来なかった。
その人は抜け殻だった。
それでも構わなかった。
最愛の人をずっとずっと抱き締めた。
何もない何も見えないこの星の底で。
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