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「ほら、真ん中のがキャサリン、ちょっとお転婆。右の端っこにいるのがゴロジローで、あ、今流れてきたのがセルゲーヴィチ・・・」
右目でレンズの片っぽを覗きながら、ユカワくんが説明をする。
ウソかホントか、彼はこのバクテリアたちひとつひとつを見分けられるらしい。愛情込めて名前を付けているのが本格的だ。ネーミングセンスには問題があるけれど。
「よしよし、みんないい子だぞ・・・」
ケミをなでる時すら出したことのない猫なで声で、緑色のシミの表面を、指でなでるユカワくん。眼鏡のおくの瞳がとろりと垂れる。
正直ちょっと引いた。
「それ、さわって平気なの?」
「愛は種族を越えるのさ。体の大きさなんて些細なことだよ」
質問の答えにまるでなっていない。完全に自分の世界に入ってしまっている。
「ところでユカワくん、例のことはもう考えてある?」
こうなるとらちが明かないので、ぼくの方から話を切り出した。
「宇宙なんて、そんなもの一体どうやって作るのさ?」
「ああ、心配ご無用、きちんと考えてあるよ」
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