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そう言って手に取ったのは、机の上に置いてあったガラスのコップ。キッチンにあるようなごくふつうの。
「これが“器”になる。今からこの中に宇宙を再現するんだ。模型でもプラネタリウムでもない、本物の宇宙をね」
「この中に?」
手にかざしたコップが、窓からの日差しを映して金色の光をはじいている。目に当たるとだいぶ眩しい。
「どうやって?」
「理論は案出済みさ。さあ、実験を始めるよ。その前に理論を解説しておこうか」
そう言って壁に掛けたホワイトボードいっぱいに、マジックペンを走らせた。意味の分からない図形や正体不明の文字なんかを書き込んでいく。ビッグバンがどうとか、エントロピーがこうとか、イーイコールエムシーなんちゃらがどうしたとか、ぼくにはさっぱり分からない。
ユカワくんの助手をしているおかげで理科のテストは毎回100点だけど、彼はもっともっとすごかった。
宇宙を創る前に、ぼくの意識が宇宙へ飛んで行ってしまいそうなので、大事なところだけを言っておこう。
ぼくらの宇宙創造レシピは次の通りだ。
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