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科挙という言葉を御存知だろうか。中国四千年中、日本の厩戸皇子(聖徳太子)が『日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す』という手紙を出した事で有名な隋の時代からラストエンペラーの清の時代まで続いた官吏登用制度である。
科とは学科試験の事で要はペーパーテストの事である。この制度によって選ばれた役人達は良い点も有ったであろうが、往々にして民の膏血を搾り取り、又専横を極めて王朝滅亡の引き金を引いた例が枚挙にいとまの無い事、知る人ぞ知る歴史の事実である。
日出ずる処では元々そういう制度はなく、又多くの技術や制度を学んだ日没する処からもそれだけは取り入れる事無く世襲又は推薦或いは選挙によって役の者が決められる事が長らく続いていた。
が、七百年近く続いていた封建の世が終わり近代国家として生まれ変わろうとした時期に初めてこの制度を取り入れた。高等文官試験と呼ばれるものである。
その時以来、名称は変わったが今に到るまでその試験により選ばれた者が国の権力の中枢にずっと棲みついて来ている。
法治国家たる近代国家の宿命とも言える文書行政を行う為にはどうしても官僚機構を整えざるを得なかったのである。
そして科挙の系譜に属する高等文官制度はその類例に漏れず、しばしば日出ずる処の国の国民を苦しめるという弊害をもたらし、一度などは国がほとんど滅んでしまうほどの被害をもたらしたのであった。
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