都市伝説 Zの陰謀 (緊急書き下ろし)

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 西暦二千二十二年一月、日出ずる処の国の株式市場では年明けから月末にかけて株式市場で相場の破綻が相次いで起こっていた。日経平均(日出ずる処の国の株式上場企業の株価の平均値)が日一日と下がって行き、年初の価格の十%を優に超える下落を起こしていた。  相場に通じる者達は『まさに落ちるナイフのようにとはこの事か。』と悲鳴にも似た嘆きの声を挙げた。  この頃、世界経済はコロナという風邪に似た伝染病の為二年もの間停頓状態に入っていた。一世紀前に世界全体で一億人もの死者を出したとされるスペイン風邪に匹敵する脅威であると伝えられたコロナに対し、各国は外出禁止、蔓延地の強制封鎖などその感性拡大防止のために自国民に相当厳しい制限を課した。  又各国間の人の往き来もこの二年間は従前に比べると甚だしく減少する事となった(各国が入出国を制限したと同時に人々もそれを控えた為である)。  日出ずる処の国の国民も世界の例に漏れず、自粛という名で外出が著しく困難な生活を余儀なくされていた。マスメディアはこぞってコロナの拡大を防ぐ事の重大性をくどいまでに強調し、経済活動を活性化させる為に制限を少し緩めるべきではないかとでも言おうものなら、『命を軽視する』発言であると多くから人非人のように指弾された。  その被害をもろに被ったのは旅行業者や飲食店を始めとする事業主、起業家そしてそれに連なる労働者であった。日出ずる処の国でコメの字で呼ばれている超大国では航空会社が幾つか消える事となったし、日出ずる処の国自身でも飲食店等を筆頭に悲鳴を上げる事業が続出した。
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