都市伝説 Zの陰謀 (緊急書き下ろし)

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 政府は一次給付金を支給するなど困窮者支援の政策を矢継ぎ早に打ち出したが、何故かマスメディアは殊更に実施が遅れていると否定的な報道を繰り返していた。元々この国のメディアは政府を悪く言う事が自分達の使命であるかのように錯覚している一面があって連日の如く政府批判を繰り返したのである。もっとも省庁等実施組織の中には素速い行政措置が取れずに立ち往生気味のところも無くは無かったが。  コロナが流行し始めてから一年半が過ぎた頃ようやくその病気の研究も進み、ワクチンの普及や経口薬の開発の目途も立ち、又当初恐怖を懐いたほど恐るべきものでは無かったと正体が明らかになり、世界には安堵の兆しが差してきていた。  そして日出ずる処の国はコロナの死者重傷者の割合が極めて低く、他の国からミラクルとまで言われていた。  そんな明るい兆しが見えて来た時期、突如として政変が起こった。政変と書くと過激に聞こえてしまうが、日出ずる処の国は近代国家に衣替えして来て以来民主主義の国であるのでその政変は投票という形の民主主義手続きを経て行われた。  事の発端はそれまで政権を担当していた首相に対する国民の支持率が極めて低下しているというメディアの報道である。
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