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「いい薬だよ。昔は我々の前では這いつくばるばかりに恐れ入っていたのに、近頃では我々の事を役人風情と小馬鹿にする風潮まで蔓延っている。目端が利く起業家の中には、今回の事で我々の力に改めて気付いた者も居るだろう。」
「何にせよ。これでしばらくは政府保有資産の売却を言い出す者が現れても、相場の低迷を理由に拒否できますし、財政再建の必要性も信憑性が増したというもの。しばらくは我々は安泰ですな。」
男達は小狡い笑みを浮かべて笑い合った。
「ふん、愚民どもを豊かにして何になる。選ばれた我々こそがこの国を正しく導いて行けるのだ。」
最上席格の男が俺こそが国の主催者だと言わんばかりの傲慢な口調で宴を締め括った。
しかし、彼等はまだ知らない。日出ずる処の国はこの株価暴落を発端に大恐慌へ突入し、国民は塗炭の苦しみを負い、日々の糧にさえ困窮するほどの経済的凋落の道を歩み。そして衰亡して行く事を。
更に十余年を経て、その経済的凋落の発端となった株価暴落の犯人探しをする者達が続々と現れ、彼等自身にいつ真相が暴かれて糾弾される身になるかと夜も眠れない日々が訪れる事を。
えっ、粕田首相はどうなったかって?
さすがに彼については審らかに書くのは気まずい。ただ、極めて残念な終わりを迎えたとだけ書いておく。
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