コバルトブルーの断崖

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 島を出るまで残すところ4日となった夜のことだった。  バターたっぷりのクロワッサンと甘いカフェオレの朝食と栄養バランスの考えられた叔父の手料理のおかげでおおよそ健康的といえるくらいには体重が増えて、夕食も残すことなくデザートまでたどり着けるようになっていた。  この日はデザートはチョコレートムースで、フランボワーズのリキュールがアクセントになっていて絶品だ。  最後の一口をじっくりと味わっていると、「明日の昼、出掛けないか」  唐突に叔父はそう言った。ここに来て、叔父とどこかへ一緒に行くということは一度もなかった。 「いいですよ、どこへ行くんですか」 「多分、お前はまだ行ったことない場所だ。たくさん歩くから今晩は早く寝ておけよ」  普段と変わらない軽い口調だけれど、どこか表情が重いのは気のせいだろうか。
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