コバルトブルーの断崖

　お買い得だという卵とほうれん草はすぐに発見できた。今ルイスはお菓子売り場の前で迷っていた。
　チョコレートとだけメモには書かれているが、チョコレートとはどのチョコレートを指しているのだろうか。
　クリスプチョコにチョコレートバー、ミルクチョコに、ビターチョコ。
　散々迷って、ミルクチョコをかごに入れた。何となくだけどビターチョコよりは甘い方が叔父は好きな気がする。
　会計を終えて店を出た。鳩の鳴き声が近くで聞こえる。
　ブーランジェリーは二軒あって、叔父の行きつけは郵便局の隣にある店で、ショーソンオポムが絶品だと店主は教えてくれた。それからは島中の店の話やバケーションシーズンの観光客に対しての不満だとか次から次へと話題は途切れず、話し下手で会話を終わらせてしまいがちな僕を相手にも楽しそうに話し続けてくれるのはうれしくはあったが、さすがになれない言語を聞き続けるのに疲れてきていた頃に別の客がやってきてどうにか解放された。
　あとはバゲットを手に入れるだけだ。遠くからでもよく目立つ黄色いポストを目印に歩く。

　買い物を終えたころには太陽は西に傾き始めていた。重くなったトートバックを右から左へと持ち替えて来た道を戻る。