18人が本棚に入れています
本棚に追加
ああもう、話を聞いてるだけでぞわぞわしてきた。
よし、ここは戦略的撤退としましょう。
私は急いでサンドイッチを食べ進め、コーヒーを飲み干す。
返却口にトレーを突っ込んで、足早に店を出た。
外に出ると熱風が頬を撫でる。
八月に入っていよいよ夏は最高潮にテンションが上がっている。
連日続く酷暑は容赦なく私に焼き色をつけにかかる。
「あっつ……」
短くぼやきながら、会社へと歩を進める。
私が勤める会社はここから徒歩五分。それでも、この暑さの中ではとても遠い道のりに思えてきた。
じりじりと上と下から焼かれて、まさにオーブントースター状態。
髪型、アップ系のやつにすればよかったな。
首元にまとわりつく髪の毛を鬱陶しく思いながら後悔する。
これも会社に帰るまでの我慢だ。
私は自分にそう言い聞かせて、ひたすら足を動かすことに集中した。
最初のコメントを投稿しよう!