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 水を差しやがって。犯人を手に取る。チラシのようだ。  一体なんの? 暗くてよく見えない。居間へ行こう……。赤ちゃんのように這いつくばり、床に転がっていた電気のリモコンを手に取る。  無防備な瞳へまばゆい光が、全灯のボタンを押すと同時に差し込んだ。  目を抑えながら、チラシを眺める。 「励まし屋?」  思わず声が溢れた。黒のゴシック体を基調としたいたってシンプルなデザインが施された、ありきたりなチラシだ。  こんなボロアパートまで熱心なことだ。宣伝なんて必要ない程に儲けているだろうに。  励まし屋……ここ数年で爆発的に利用者が増えている。流行語にもなり、もはや使っていない人間を探す方が難しい。  それだけ人々は落ち込んでいる。そして、周りに応援してくれる人はいないということ。  チラシの裏には、励まされた人達の話も掲載されている。どいつもこいつも幸せそうな顔だ。宗教チックな胡散臭さがプンプンする。
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