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ここでようやく車内アナウンスがあり、僕たちを乗せた車両は、キングスクロス駅を目指さずに、ウォータールー駅まで引き返すことになったことが繰り返し告げられた。車両は、元来た道をゆっくりと逆走し、三十分ほどかけてウォータールー駅に到着した。
プラットホームに立つと、遠くから緊急車両のサイレンの音が聞こえる。遠くを見ると数キロメートル西方に地上から立ち上る炎に赤く照らされた巨大な煙の柱が見えた。駅の構内は、すべての電車のダイヤが乱れた影響で行先を失った群衆が右へ左へとさまよっているようだった。行き交う人々の口々から漏れ出た断片的な情報から、キングスクロス駅での爆発予告が昼頃にあって、夕刻には実際にとてつもなく大きな爆発があったらしいことが分かった。警察が、予告内容や周辺状況から、爆発物の探索と撤去に乗り出した時間帯というのが、僕たちが乗っていたユーロスターの車両がキングスクロス直前の地点で足止めをされていた時間帯と一致する。警察は、事前情報の通り、爆発物を発見し、耐圧容器内で破壊したらしい。この安全確保のための破壊でも駅周辺には、爆発に伴う大轟音が響き渡ったという。爆破処理の完了に伴い、安全宣言が出され、安堵の表情を浮かべて多くの人々が駅構内に流入し始めた。
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