2033年1月「幻の国際シンポジウム」(ナンシー、パリ、ロンドン、ハリッジ、ロッテルダム、ブリュッセル、パリ、ナンシー)

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 マルによると、ムッシュ・ガバヤが、「ポスターをきれいに印刷して、この筒に入れて持ち運んで、発表後は、また大切に持ち帰れ」、と言って手渡したのが、この筒なのだそうだ。それで、この筒に、マルのポスターが入っているのかというとそうでもないらしい。筒には、一気圧の窒素や酸素が八対二で充填してある以外は何も入っていないらしい。 「ムッシュ・ガバヤは、ポスターの意味が分かってないんだよ。紙や布にポスターを印刷をしろっていうけど、どうやって紙の上でムービーを表示するんだろう。」 と、マルは大いに不満げだった。彼女は、ボスの意図が全く分からないと言った。もしかしたら、ムッシュ・ガバヤには、何か別の意図でもあるのだろうか。 「それにしても、そのプラスチックの筒、ものすごく古そうね」 ジョアンナが言った。  物自体が古いことを言いたいのか、ボスの考えが古いということを言いたいのか、マルが付け加えた。 「うちのボスは、絶対、タイムマシンで過去からやってきたネアンデルタールに違いないよ! 頭の形が何よりの証拠だよ」
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