2033年1月「幻の国際シンポジウム」(ナンシー、パリ、ロンドン、ハリッジ、ロッテルダム、ブリュッセル、パリ、ナンシー)

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 まさにその直後に、長距離間を結ぶ高速鉄道のプラットホーム付近で大きな爆発があり、停車していた複数の電車が跡形もなく吹き飛んだという。また建物の一部、特に地下鉄と高速鉄道のプラットホームが立体的に重なり合う地点で、複数のフロアの床が崩落して、地下鉄構内が地上から露出して見えるまでに大きな損傷が確認された。駅構内に流入した多くの人々が爆発の犠牲になったと思われる。おそらく、シオン型ユーロスターの車両から勝手に下車してキングスクロス駅まで歩いた人々の大部分もこの爆発の犠牲になっただろう。もし、僕らも電車を降りて、線路の上を歩いてあの駅まで移動していたなら、この爆発の巻き添えになった可能性が大きい。僕たち三人は、マルが必要以上に準備した食事のおかげで命拾いをしたのかもしれない。
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