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冷静になって考えてみれば、大切な国際会議でのデビューのチャンスを奪われたことなんて、とても小さいことだ。そんなことよりも、テロを起こす人々への怒りと軽蔑の感情が寝ても醒めても溢れてくる。自らの集団内でこんな理不尽な憎しみや対立の連鎖を抱え込むなんて、人類はこれからどうなってしまうのだろう。あれ以来、寝る時間になると気持ちが高ぶってまともに寝ることが出来ない。このままでは、いつになったら、心が休まるのか分からない。
不可解な恐怖感が、「生き延びた喜び」に変わったのは、帰国して半月程が経過してからで、「僕ら三人は運が強い、テロがやってきても、災害が襲ってきても、戦争に借り出されても絶対に生き延びるんじゃないか」と、マルと僕との間での新しい挨拶のような会話が出来上がって、それから数週間は、同じ挨拶が続いた。
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