つむちゃんが死んだ。

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つむちゃんが死んだ。

つむちゃんが死んだ。 夫と3歳の娘と、遅めの朝食をとりながら、よくある休日のゆるりとした午前だった。 高校時代の友人、レナからLINEが届いた。随分久しぶりの連絡だ。 レナには長く同棲中の彼氏がいることを知っていたから、おめでたい類の(主に結婚の)報告だろうと予想をつけて、はやる気持ちでメッセージを開いた。 けれどそこには、まったく予想外の懐かしい名前と、痛ましい事実があった。 鈍い衝撃と共に込み上げてきた感情は、確かに「悲しい」だった。でも泣けなかった。 つむちゃんの存在は幼い頃から知っているけれど、個人的に親しかったわけではない。 普段、特別なきっかけなしに取り立てて思い出すこともなく、名前すらもう何年も口にしていない。地元から遠く離れた東京で、平和な日常の中で、人伝いに訃報を知るわたしに泣く資格なんてない気がした。 つむちゃんは、3歳上の兄の、小中学校の同級生だ。 レナからのLINEには、わたしの兄から、他の同級生たちにつむちゃんの訃報を伝えて欲しいとあった。レナはつむちゃんの奥さんと知り合いで、つむちゃんの旧友の連絡先を知らなかった彼女から頼まれたのだ。 こうして、奥さん→レナ→わたし→兄→同級生たちへ、リレー形式でつむちゃんの訃報は伝えられた。
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