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朝からゆううつ
橘めるるは憂鬱である。
朝六時半に目覚ましで起きると、いつものように男友達からラインが入っていた。
ラインはかなり長文に渡り、スクロールしないと読めないぐらいまで書いてしまってあるものが八個届いていた。
内容は、最近のその友達の失恋についてである。
「俺はどうやって生きたらいいんだろう」ラインはその文言で締めくくられていた。
知らんわ! と正直、橘めるるは思う。もう三か月近く、ほぼ毎日この調子なのだ。
一言、迷惑なのでやめてほしい、と言えば済むはなしなんだろうけれど、めるるにはそれができない理由がある。
この友人を切り捨ててしまうと、あのひととのつながりがまったくなくなる。
あのひととのつながりがまったくなくなるということは、故郷からも東京からも切り離されたこの田舎町に、永遠に封じ込められてしまうことのように感じる。
「このまま、この町で一生を終えるのだろうか」なんて考えてしまう。
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